厚生労働省は、厚生年金の保険料算定基準である標準報酬月額の上限を引き上げる方針です。また、高齢者が働きながら年金を受給する際の負担を減らし、就労を促進するため、在職老齢年金制度の見直しを行う方針です。
厚生年金保険料の上限引き上げ
厚生年金の保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に18.3%の保険料率を掛けた額で、労使折半(加入者と会社が半分ずつ負担)となっています。報酬をそのまま使うと保険料の計算が複雑になるため、等級に分けて計算されます。現在、32等級に区分されており、最も高い区分は65万円となっています。
今後、最も高い等級の区分を75万円に引き上げる予定です。この保険料収入の増加により、年金財政の安定化を図ります。高収入の会社員は、より多くの保険料を支払うことになりますが、その分、将来受け取る年金額も増えます。
在職老齢年金の減額基準の引き上げ
在職老齢年金とは、就労して一定以上の収入を得ている60歳以上の老齢厚生年金受給者に対し、受け取っている老齢厚生年金の一部または全部を停止する仕組みです。
この年金を減額する基準額を、現在の月50万円から62万円に引き上げ、働く高齢者の「働き損」を解消し、就労促進と人手不足対策を図ります。
この改革は年金制度改革法案に盛り込まれ、通常国会に提出される予定です。